缶ビールパッケージの不思議1
缶ビールの紙パッケージ。
いつも何気なく破って捨てていますが、よく見るとすばらしい構造になっているんです。開発者の努力の跡が見えてきますね。
ごく普通の缶ビールパック。
6本の缶ビールを、バラけそうだが決してバラけない超バランス感覚で包み込んでいますね。
ここにとてつもない秘密があったんです。
ポイントはここ。
この角の三角形曲面の引っ掛け部分。上下にあります。この部分が引っかかることによって缶ビールが飛び出すのを押さえているんですね。
たったのこれだけで缶はしっかりと保持されているんです。
では、まず缶ビールを取り出して、箱を開いてみます。
外側面から見ています。
内側から見たところです。
先ほどの引っ掛け部分には、更に内側に三角形に抜かれた孔がありますね。内側へ曲がりやすく引っ掛け部が形成されやすくしているんですね。
完全に裏に折り返すとこのようになります。
”ベロ”部分は内側へ完全に折り曲がりましたが、引っ掛け部分は残って上と下に三角形曲面ができあがりましたね。
缶ビールが入っているときにはこの状態になっているんです。
つまり、
箱の一部(ベロ)を内側に折り曲げるだけで、先ほどの3次元的な曲面引っ掛け保持部が形成されるというわけなんですね。すばらしい!!
しかも、
もうお気づきかもしれませんが、一度折り曲げると内側には缶ビールが詰まっているので再び開くことがないというわけです。(缶ビールを出さない限り保持される)またまたすばらしい。
そしてしかも、
内側へ折り曲げる作業は、実は缶ビール自身が行っていると考えられるんですね。
つまり、
工程1
最後の缶ビールを詰め込む前に、先ほどのベロを若干曲げておきます。
すると、缶ビールがベロを押し曲げ、同時に三角形曲面部分が缶を包み込むようにタイミング良く形成され始めます。
実際にやってみるとこのタイミングは本当に絶妙です。
工程3
そして最後まで押し込まれると、ベロは缶があるので開くことはできず、しかも缶は三角形曲面で保持されているので外に飛び出せない。
八方ふさがりになった缶ビールは、やがてユーザが無理やり引きちぎるまでおとなしくパックされていると言うわけです。
ビール工場の梱包工程ではおそらくこのような工程でパックされているのだと推測されます。
いやあすばらしいではないですか。脱帽!
祝福のために、まずはこいつで乾杯!
―メカトロ商品開発・設計・製作 ASSIST TECHNOLOGY―
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(株)アシステック 伊藤 隆康
PROFILE
ASSISTEC技術屋社長 伊藤隆康
ホシデン(株)開発研究所で9年、パナソニック電工(株)制御技術開発研究所で16年間新商品開発に従事。2005年に『株式会社アシステック』を設立し電子機器開発設計支援・コンサルティング業務を行っている。
和太鼓奏者。